めじるし。

右側の、ふたつめの星を朝までまっすぐ。

世界の本屋さん見て歩き : 海外35カ国202書店の横顔 / 能勢仁著

職場にあったので、主に南アジア関連のところを読んでみました。

世界の本屋さん見て歩き―海外35ヵ国202書店の横顔

世界の本屋さん見て歩き―海外35ヵ国202書店の横顔


著者は高校教師を経て多田屋常務取締役、ジャパン・ブックボックス取締役(平安堂FC部門)、アスキー取締役・出版営業部統轄部長、太陽者勤務、1996年ノセ事務所を設立し書店クリニック・出版コンサルタントとして全国の書店の再生に活躍中とのこと(奥付より。)

主な著書
「世界の書店をたずねて」

世界の書店をたずねて―23カ国115書店紹介レポート

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「書店の実務教育読本」

書店員の実務教育読本

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出版人に聞く⑤「本の世界に生きて50年」

本の世界に生きて五十年―出版人に聞く〈5〉 (出版人に聞く 5)

本の世界に生きて五十年―出版人に聞く〈5〉 (出版人に聞く 5)


など

p.152-169までがインドについて。
デリーとムンバイについて書かれていました。
2011年発行だけど、著者が1995年以降に訪問した書店とのことなので、記述は90年代のものもけっこうあるのかも?

インドの出版量の多さについても言及されていた(出版社数は1万1000社、年間発行点数は5万点、英語出版はアメリカ、イギリスに次いで世界3位、と書かれていたけど、データの出典が書いていない・・・。)けれど、他の国と違って町の書店で雑誌を扱っていることが特徴だと書かれていました。

欧米の書店は書籍専門で、日本のように雑誌も本屋さんで売っているのは世界でも珍しいとのこと。
確かに、インドの本屋さん雑誌も売っていたなぁ。
でも私は日本とインドの本屋さんしかみたことがないから特に不思議に思わなかったのでした(^^; 目から鱗。

デリーはいくつかいったことがあるところも載っていたけど、若干間違いではないかしら?と思う記述が見受けられました。

Jain Book DepotについてJain Book Agencyの写真が載っているし。
そのふたつを同じ会社と思っているようだけど、(「創業店は一,二階(計17坪)で、いかんせん狭く、隣の店を買収して、そちらに専門書を移した。」という記述あり)別会社のはず。
Agencyの方が店は小さいけど、古くからやってて、海外にも手広く取引しているのは間違いないと思うけど。
うちもAgencyとは昔から取引があるみたいで、日本から直接輸入していました。

でも、確かにそっちは店舗は小さいしごちゃごちゃしてて見づらいのよね。。。
「こういう本ないですか?」っていうと、店員さんが次から次へとどこからともなく(たぶん倉庫から?w)もってきてくれるんだけど・・・。(でも店員さんによってあたりはずれがあるよ!)

Depotの方が店が広くて新しくて、このふたつがすごく近くにあるから、向こうが本店でこっちがショーケースみたいな感じなのかなぁ?と思ったけど、お店の人に聞いたら別の会社だって言ってました。Depotの方にはレシートに「Nabhi Enterprises」って書いてあったし。
Nabhiってたぶん、ハンドブック系の本をたくさん出版しているところのような?

ぐぐってみたらあった!(普通にググるとウェブの電話帳みたいなのばっかりが上位にヒットする。。。本家のページが探しにくい。
http://www.nabhinews.com/AboutUs.aspx
やっぱり、Nabhi PublicationsがDepotを経営している模様。

ちなみにAgency(JBA)の方のページはこちら。
http://www.jainbookagency.com/about_us.aspx
さすがにこっちは歴史あるだけあって、ググるとトップにちゃんときます。

もうひとつ気になったところ。
ラージチョウク駅と書いてあるのはRajiv Chowkのことかなぁ?

「ナイー・サラク(NaiSarak)には古本屋、紙屋が密集している」という記述があり、気になりました。ここいってみたい!チャンドニ・チョウクにあるらしい。
ナイサラクってたぶんヒンディー語で新しい道っていう意味だと思う。

約750mの通りに古本屋が174店あったとのこと(・・;)すごい密集度。
専門書店が多くて、間口が狭く、入り口で店員(店主?)が接客している(たぶん、こういうのがほしいっていうと出してきてくれるのかなぁ?)形式とのこと。

古本屋って書いてあるけど、もしかしたら新刊扱ってる専門書店なのかも?
なんかインドは埃っぽくて正真正銘の新刊でもざらざらコナコナしてるんだもの。。。

ナイラサラクについて検索してみたら英語版ウィキペディアに項目がありました☆
http://en.wikipedia.org/wiki/Nai_Sarak
どうやら、教科書や児童書、各分野の専門書店がたくさんあるみたい。

テキストブック系のものもインドではいっぱい出てるんだけど、うちは専門図書館なもので、テキストレベルのものはうちではあんまりいらないのよねえ。

検索ついでいヒットしたこのブログ↓でも、この本について言及されていました。
http://takayukiohno.blogspot.jp/2013/01/blog-post_22.html
インドの本屋さんが写真入りでたくさん紹介されていて見応えがありました!


でも、デリーの書店街といえば、オールドデリーのダルヤ(ダリヤ?)ガンジのアンサリ・ロードあたりじゃなかろうか?
こっちの方が学術書や版元の店舗(自社出版物は割引してくれることも。)とか、うちのコレクション的にはあっているものが入手できる気がします。

これでインディア*1のデリー・ウォーカーにも解説あり。↓
http://www.koredeindia.com/delhiwalker_old.htm#daryaganj

能勢さんは、デリーについてはいつ訪問したのか定かではないけれど、ムンバイについては2008年の爆弾テロについてや、2008年10月に開店したクロスワード書店(インド版ブックオフのような感じらしい)についての記述があったので、それ以降に訪問したと思われる。
ムンバイはまだいったことがないのでいってみたいなぁ。


ムンバイの大露天古本市場っていうのが気になりました。
写真が載っていたけど、壁のように本が横積みで積み上げあられている(・・;)
「レジはない。相手のポケットがレジである。」とのこと・・・

だいたいの場所については通りの名前やショッピングモールの位置なんかが書いてあるんだけど、住所や電話番号が掲載されていないのが残念。。。
まあ、この本を読んで実際に行く人がいることはそんなに想定していないのかもしれないけれど。。。


スリランカも担当の地域に入るので読んでみました。
pp.170-179

スリランカの特徴としては「新聞社-出版社-書店」という流れができているマスコミ業界の独特さ(?)があげられていました。
書店営業には国のライセンスが必要とのこと。全国に約50の書店があり、上位の書店は大手の出版社が経営しているらしい。

1位としてあげられていたレイク・ハウス・ブックショップは、前にウェブサイト(オンライン販売もしていた)をみたことがあるけど、けっこうよさそうなところでした。

Lake House Bookshop
http://www.lakehousebookshop.com/

キーワード、書名、著者名、ISBN、出版社名で検索可能だし、分野別一覧もあり、スリランカに関する書籍のみに絞り込みもできました。

スリランカのところでは、書店以外にスリランカ公共図書館コロンボ国立博物館も掲載されていました。
出版社数は200社前後で年刊出版点数は8000点くらいだそうな(やはりデータの出典なし・・・)
インドに比べれば少ないけど、人口規模が違うし、けっこう多い気がする!

インドの流れをくんで(?)コロンボにもPolwatta地区南部に古書店街があるらしい。ふむふむ。でも店舗数は6店舗とのこと。
ここも要チェックかな?

スリランカはやっぱり現在の首都より昔の首都のコロンボの方が本屋さん充実してそうだな。
大学院の時の同級生がコロンボ大の司書(スリランカ人)なので、いつかコロンボにも行ってみたいと思っています。

しかしまたしてもこの本は!><
首都名の記述が間違っている(・・;)
「スリー・ジャヤワルダナブラ」って書いてあるけど、「スリジャヤワルダナプラコッテ」のはず!
スリランカの首都って長い名前なので有名じゃん!なんでこれを間違えるかな。。。

「名称が長いため、通常はコッテまたはコーッテ (Kotte) と略される。」フロムウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%A4%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%8A%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%86

プとブの間違いは百歩譲るとしても、コッテの名前で呼ばれるのにそこを忘れちゃだめじゃないか!!

インドのところでも思ったけど、この本、編集とか校正をちゃんとやっていないのではなかろうか。。。

本当は職場でディスプレイする新着資料*2の紹介文書くのにどうかなと思って手に取ったんだけど、そんなわけであんまりおすすめはできないな、と思ってやめたのでした。

でも、参考になるところはあるし、おもしろいのでブログにでも書いてみようかと。

35ヶ国っていう国の本屋さんを見比べている人なんてほかにそうそういなさそう。
それだけでもすごいと思います。

あと、南アジア以外で気になったのは「北朝鮮」の本屋さん!
なんと平壌のブックフェアを視察したらしい!(2002年9月とのこと)
へえー!
参加国は25ヶ国(社会主義国)というのもまためずらしい。。。
その道の研究をしている人には垂涎モノ??なのかしら。。。

でも、さすがに北朝鮮だけあって自由に書店見学はできず、国営書店(朝鮮労働党関係の本ばっかりらしい・・・さすが・・・)と人民・大学習堂売店とホテルの売店くらいしかみられなかったようです。。。
あとは空港の出国手続き後(つまり一般の市民は入れない?)の場所に洋書が置いてある書店があって、そこが一番まともな品揃えだったそうな・・・。

そしてホテル以外は写真撮っちゃいけないと言われていたからと、ホテル内の書店を撮影したら、人民裁判とやらにかけられ、7年半炭坑での労働が課せられる刑に処せられてしまうというおそろしいことに(・・;)
でも、VIP扱いでの入国だったので、なんとか免除されたみたいで、よかったです。。。
(でもなにやらいかに北朝鮮がすばらしいか、という洗脳教育?みたいなものをうけさせられたとのこと。。。)

くわばらくわばら。。。

インドもテロを警戒しているのでセキュリティ厳しいし政府機関とかで気軽に写真とれないので、おっかなびっくりでした。。。
出張の時、ほんとは中央銀行のビルとか写真撮りたかったけど、とがめられたら怖いのでやめておきました。。。

最近話題の「図書館戦争」じゃないけれど、言論の自由がない国はまだまだあるのね。。。

以前、仕事でトルコの雑誌社とどうしても連絡がとれなくなって*3、停刊とかいう連絡もないのにぷっつりと雑誌が途絶えてしまったので、八方手を尽くして探したら、Googleにウェブサイトのキャッシュが残っていたのでそれをトルコ語ができる人にみてもらったら「民主化された暁に再びお会いしましょう」というようなメッセージが真っ黒なページの真ん中にぽつんと表示されていて「これはきっと検閲に引っかかって差し止めになったんだろうね・・・」というようなこともありました。

あと、最近発展がめざましいミャンマーも軍事政権下では事前にすべての出版物を検閲委員会に提出しなければいけない、とか、かなりメディア統制が厳しかったらしいです。。。(今はそれが緩やかになって出版がかなり増えているらしい!)職場の有志でやっていたEconomistを読む勉強会で↓の記事がとりあげられたことがあって、ひょえー(・・;)と思いました。。。
http://www.economist.com/node/21560916

図書館はすべての検閲に反対する(図書館の自由に関する宣言第4)というのがあるけれど、これは他国のものであれば反対しなくてよいのだろうか。。。。

私は大学院でこの自由宣言の元になったLibrary Bill of Rightsについて論じた本をテキストにした授業(というか演習形式?)をとっていたんだけど、宣言を守ることで職を失ったりすることになっても、結局は誰も保障はしてくれないんだなぁ*4っていうところで、なんとなくグレーな気分になったものでした。。。

確かテキストに使ったのはこれのはず。

『図書館の権利宣言』を論じる

『図書館の権利宣言』を論じる


なので、なんとなく複雑な思いがあって「図書館戦争」は読んでいないんだけど、映画も話題になっているし、ちょっと気にはなっているのでした。。。
フィクションと思ってみればいいんだろうけどね。。。

みるべきかしらん?

なんだか、最後の着地点が思わぬところに飛んでいってしまったけれど(^^;

インド旅日記も下書きというか、項目建てだけはけっこう先まですすんでいるのだけれど、年度末・年度初めの慌ただしさを乗り越えたかと思いきや、ちょいと体調を崩しまして・・・入院したりしていたもので、なかなか進まずすみません>< 
まあ自己満足な記録ではあるけれどなるべく鮮度が落ちすぎないうちに続きをアップしたいと思ってはいます・・・。

*1:インドに関するけっこう有名なサイトさんだと思います

*2:寄贈で受け入れていたので新刊とは言えないけど。。。

*3:代理店を通さずに直接版元からかっていたのです

*4:ALAはバックアップはしてくれるかもしれないけれど。。。